あなたの不調、慢性上咽頭炎では?

上咽頭炎

慢性上咽頭炎は、喉の上部にある喉頭と咽頭の接合部分に炎症が生じる病気です。通常は細菌感染やウイルス感染などが原因となり、喉の痛み、咳、喉のかゆみ、喉の乾燥、声のかすれ、飲み込みにくさなど直接的な症状の他、鼻の粘液が喉に周り不快感や咳喘息のような症状を引き起こす後鼻漏、また放散痛として首肩のコリや、さらに自律神経症状が現れることがあります。

上咽頭炎と自律神経失調症の関連

慢性上咽頭炎が自律神経失調の原因となるメカニズムについては、明確に解明されていない部分が多いものの、いくつかの仮説が提唱されています。

まず、慢性上咽頭炎によって引き起こされる炎症や痛みが、交感神経と副交感神経のバランスを崩すことが考えられています。上咽頭炎は、喉の奥にある粘膜に炎症が起こる病気であり、上咽頭という場所が神経中枢の近くにもあることから、交感神経の興奮を引き起こすことがあります。このような状態が長期間続くと、交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れることが考えられます。

また、慢性上咽頭炎によって引き起こされる炎症や過敏反応が、副交感神経の機能低下を引き起こすこともあります。副交感神経は、リラックス状態や消化器官の運動を担当しており、炎症や過敏反応によって副交感神経が低下すると、消化器官の運動不良やストレス反応が引き起こされることがあります。

さらに、慢性上咽頭炎が引き起こす睡眠障害やストレスなどが、副次的に自律神経失調の原因になることも考えられます。睡眠不足やストレスは、交感神経の興奮や副交感神経の低下を引き起こし、自律神経失調の症状を悪化させることがあります。

慢性上咽頭炎とコロナ後遺症の関係

現在、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の後遺症に関する研究は進行中ですが、一部の症例で慢性上咽頭炎と関連する症状が報告されています。

COVID-19は、主に呼吸器系に影響を及ぼす病気であり、上気道炎症や喉の痛みなどの症状が報告されています。また、一部の患者では、感染後に長期的な症状が残る「コロナ後遺症」が報告されており、これらの症状には、呼吸器症状だけでなく、全身症状や神経症状も含まれることが知られています。

一部のコロナ後遺症の症例では、上咽頭の炎症や過敏反応によって、慢性上咽頭炎に似た症状が報告されています。これらの症状には、喉の痛み、のどの渇き、のどのかゆみ、声のかすれ、のどの痛みなど直接的な症状の他、また、神経症状や倦怠感・疲労感、不眠症、集中力の低下などの症状も報告されており、これらの症状は、自律神経失調症候群に関連することがあり上咽頭炎との関連が高いと考えられています。

以上のように、慢性上咽頭炎が自律神経失調を引き起こすメカニズムについては、まだ解明されていない部分が多いものの、炎症や痛み、睡眠障害、ストレスなどが自律神経失調の症状を悪化させる可能性があることが知られています。

慢性上咽頭炎は、症状が長期間にわたって続くため、治療が必要となる場合があります。治療には、炎症を鎮めるための処置が必要です。ウイルスや細菌に感染している訳ではないため、抗生物質や抗炎症薬についてはあまり効き目がありません。

セルフケア:「鼻うがい」をしよう

「鼻うがい」とは、鼻の内部を洗浄することで、鼻腔内に付着した汚れやアレルゲン、ウイルスや細菌を除去することができる健康法の一つです。日本では、鼻うがいを「鼻を洗う」という意味で「鼻水吸引器」や「鼻うがい器」などが市販されています。

鼻うがいを行うことで、鼻腔内のアレルゲンや汚れを洗い流し、花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を緩和する効果があります。それと同時に上咽頭にも届くことで上咽頭にこびりついた菌や鬱血した粘膜等を取り除いたり清潔な状態にすることで炎症を抑えます。また、鼻腔内のウイルスや細菌等を取り除くことで風邪やインフルエンザなどの感染症予防にも役立ちます。

鼻うがいの方法としては、市販の鼻うがい器を用いる方法や、水を手でくむ方法があります。鼻うがい器を使用する場合は、薬局などで購入できる専用の器具に水と塩を入れ、鼻から吸い込むようにして洗浄する方法が一般的です。手で水をくむ方法は、手を浸した水を鼻に入れて鼻をすすぎます。

しかし、鼻うがいは行い過ぎると鼻の粘膜にダメージを与えてしまうことがあるため、使用頻度や塩の濃度などには注意が必要です。また、水による鼻うがいは、耳の感染症や急性中耳炎などの合併症が発生することがあるため、注意が必要です。鼻うがいを行う際には、専用の器具や専門家の指導を受けることが本来は望ましいとされています。

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その他、生活習慣の改善などがあります。

予防には、喉を清潔に保ち、タバコや大気汚染、アレルギー反応を引き起こす物質を避けることが大切です。そのためにも「口呼吸」を避け、鼻呼吸をすることにより咽頭部を守れます。また、免疫力を高めるために、バランスのとれた食事や運動などの健康的な生活習慣を心がけることも重要です。

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